久々に天野に触れられたな。



「………悔しかったんだ。

夏音が浮気なんて、最低だって思った。


だけど、夏音がそんなことするわけ無いってどっかでわかってた。



それでもイラついてたのは、本当は自分自身にだった。


犯された夏音を守れなかった悔しさ。


大切な人の1人も守れないで、なにが彼氏だ。

そう思った。



だけど、最期の方はもう、意地みたいなもんだったんだ。


そんなくだらないことで、夏音を──…」



『…俺、今嬉しいよ………

天野が戻ってきてくれて…………

すっごい幸せだ…………


だから………

天野がそんな顔………

するなよ………』



「夏音…………」



天野に触れたら、安心して瞼が重くなってくる。



『天野、だい、す…………』



「夏音………?」






天野の声を遠くに聞きながら、俺は少し眠った。