《●○花火大会》
そんなポスターが、町中に張ってあった夏休み前は、天野と行きたいなぁ、なんて考えてたのに。
(花火…綺麗だな。)
俺の部屋の窓からは、よく花火が見えた。
そう、今日は花火大会当日。
俺は参考書と向き合いながら、花火の音を聞いた。
…来年は、天野といけますように。
そう祈りながら、復習をする。
「………………ゲホッゴホ、ゲホゲホッ…カハッ、」
…だけど。
俺の体が、そこまで保つのかな。
さっきまで白かった参考書は、俺の口から出た真っ赤な血に塗られていた。
喉がヒューヒューと音をたてる。
その紅がやけに綺麗で、深みを帯びていて、なんだか魅入ってしまった。
(吐血…か)
血に染まった参考書を閉じ、ベッドに寝転がる。
フウッ、と息を吐き、口の端の血を拭って、花火の音を聞きながら目を閉じた。