Love Trap〜危険な罠は甘い蜜の味〜

「じゃあミツ、これ宜しく♪」

「あー、あとこれも!」

「俺的にはこれがいいッス」

「じゃあ、あたしはこれ〜」


次々と蜜葉の腕には
男モノの服が積み重なっていく。

蜜葉は慣れた手つきでその服を抱え上げると、俺を呼んで隣の部屋に入っていった。


「倉田さんっ、こっちです!」


俺は慌てて後を追った。

先程までいた部屋とは少し変わって、幾つかに分けられた試着ブースにカラフルなカーテンが掛かっていて、なんとも鮮やかだ。

蜜葉は一番奥のカーテンの前に立っていた。


「この服、全部着て下さい。一着着たら、隣に戻って皆さんに見せる…というのを繰り返す感じで」

「は、はぁ…」


俺の前に突き出された何着もの服。

余りの量に、俺は小さく溜息をついた。


言われた通りに、俺は服を着替え、隣の部屋へと見せに行く。

OKが出たら、また試着ブースに戻り、別な服に着替える。

それを俺は、何十回も繰り返した。





「――…はいっ、やっと終わりよ。本当皆さんお疲れ様。予定より早く終わる事が出来たわ」


舞原さんの一声により、
一気にその場の緊張が解けた。

俺も蜜葉も、周りの人達全員が胸を撫で下ろした。


「倉田君、今日はありがとう。本当に助かったわ。何か御礼をしたいのだけれど……何がいいかしら?」


舞原さんが、俺に問い掛ける。

顎に指を当てながら、
俺の顔を見つめて考えている。

すると、何かを思い付いたように、顔がぱぁっと晴れた。

その顔は、今までの舞原さんからは想像出来ない程、愛らしい笑顔だった。


「そうだっ、蜜葉。貴方の叔父の店に連れてってあげて?」

「えっ!?私ですか…?」


いきなり話題を振られた蜜葉は、少し戸惑っている。

舞原さんは、蜜葉の様子を気にする事も無く、明るい表情のまま話し続けた。


「いいじゃない?貴方達、ちゃんと面識あるみたいだし……、何たって、蜜葉の叔父の店は、本当に美味しいんだから♪御礼として、ちょうどいいと思うの。どう?蜜葉」


そして、追い撃ちを掛けるように、とびきり綺麗な微笑みを蜜葉に向けるのだった。