____5年前
朝起きたら、父は死んでいた。
心臓麻痺とか、心臓発作とか、
中学生になりかけの私にはよくわからないいわゆる
[突然死]というものだった。
笑った顔しかみたことなかった母が初めて泣いた。
声に出して。奇声を上げ…。
あとから駆けつけた祖父母も声に出して泣いた。
葬式の日は誰もが言った。
「早すぎる」「若すぎる」
そんな言葉も私たちの家族の耳には入らなかった。
それ以来、私は涙もろくなった。
母はあの時以来、私の前では泣かなくなった。
あの時だけだった。
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