「いってきまーす!」


と声に出してみたが、声は帰ってこない。

父は中1のころ病気でなくなり、

朝早くから母が仕事に出掛けているからだ。

そんな私の呟いた声も虚しく私は家を後にした。




学校から私の家は遠くない。

自転車で15分。偏差値は高くも低くもなく、

どこにでもある普通の高校。


駐輪場に自転車をおきにいくと、

「華ー!」

この澄んだきれいな声は沙弥だ。

同じクラスで小学校からの仲。

なんと3年連続同じクラス!

学校が楽しいのは沙弥の存在も大きい。