その涙をごまかすように、

「飲み物買ってくるね!」

部屋を後にした。


自動販売機は休憩場所のような所にある。

そこは病室のような重たく冷たい雰囲気とは違って

とても暖かい場所だった。


涙を洗い流さずに、母の元に戻るのは嫌だった。


「少しゆっくりしていくか…」

そう思い、ソファに腰掛けた。

人は数人しかいなく静かだった。

夕方、オレンジ色の光は差し込み、

床がまるで人間の頬のように染まっていた。