「あ!桜夜ちゃん!」

「平助君?」



遠くから聞こえていた足音は藤堂のものだった。



「どうしたの?そんな急いで」



あちらこちらを走り回ったかの様な藤堂。



「総司見なかった?」

「総司?」



ー…て総司またサボリ?!ー



「さっきここを通って行ったけど…稽古?」

「そーなんだけどよ、捕まえらんねーんだよ」

「な、何か、ごめんね」



茶屋に行くと言ってしまった手前、桜夜は何となく申し訳なくなってしまった。



「何で桜夜ちゃんが謝んの?とにかく総司見つけたら捕まえといて!」

「わ、分かった」




藤堂は再び走り去って行った。