まだまだ寒い2月に入った頃。

沖田の自室となっている客間にゴロゴロと転がる人物。



「はぁ……朝っぱらから突然訪ねて来たと思えば……何しているのです?」



沖田は冷ややかな眼差しを向ける。



「なぁ、総司。そろそろバレンタインだろ」



畳に転がったまま、冷ややかな視線をものともせず沖田を見る。



「バレンタイン?」

「そーだよ、バレンタイン」

「あぁ、あの妙に男女が浮かれてるアレですか」

「浮かれてるって……」



沖田は再び小さく溜息を吐く。



「それがどうかしたのですか?それより、哲くん、その転がるのを止めていただけませんかね」


沖田が座布団を差し出す。



「チェッ、固いコト言うなよ」



まだ転がりながらも、座布団を受取る哲也。

しかし、その座布団を抱き枕の様にしてまだ転がるのを止めない。



「で?そのバレンタインがどうしました?」



沖田は転がり続ける哲也の体を抑えた。