「よ、ジョー、お疲れ」

俺の源氏名で声を掛けてくるのは、この街に巣食う夜の仲間達だ。

「風邪引くなよ」

強面のおっさん達だけど、他人を気遣う気持ちくらいは持ち合わせている。

この街での生活にもだいぶ慣れた。

それでもやっぱり違和感は拭えない。

薄っぺらに着飾った、見せかけだけの華やかさ。

素性を明かさない、上辺だけのつきあい。


——金で人の温もりを買おうなんて、どう考えてもおかしいじゃねぇか!


そこに身を置く今の自分を、もう一人の俺が笑って茶化す。


——馬鹿じゃねぇの!