堪え性がないってことくらい、俺だってわかってる。
でも、美亜が近くに居るとわかったからには、もう居ても立ってもいられなかった。
「あれ? ヒロ先生、どうしたの? 今日は勉強会お休みなの?」
校門の前で立ちつくす俺を見つけて駆け寄って来たのは孝太だった。
「いや……、なに、その……、お前が世話になってる菅野先生にお礼をだな……」
「菅野先生、今日は居ないよ。二年の修学旅行の付き添いで京都。残念でしたぁ」
「そっか……」
「先生、そんなに菅野先生に会いたいの?」
孝太の言葉にハッとした。
俺、何やってんだ……
職場にまで押しかけて、俺のしてることはストーカーまんまじゃねぇか。
美亜が俺に会いたいと思ってくれなきゃ意味がない。
坂田の言うように、美亜が俺に会いに来るのを待つのが正解なんだ。
「先生?」
「あ……、すまん。孝太帰るか。挨拶はまた今度だ。それより今は、お前の勉強の方が心配だもんな」
「へへっ、俺も心配。頑張るよ、勉強。高校行きたいしさ」
俺が今やるべき事を、確実にやり遂げる。
それが美亜、お前に近づく第一歩だ。
見てろよ!



