みあげればソラ


「菅野先生はこないだ会ったキレイなお姉さんなんだ」

「おい、コウタ、それマジか?!

もしかして、その先生の名前はカンノミアって言わないか?」

「えっ、あ……、多分そんな名前」

「おい、コウタ、はっきりしろよっ!」

俺は焦っていた。

やっと見つけた美亜が、また何処かへ消えちまうんじゃねぇかって。

「ヒロ先生……、恐いよ……」

「あっ、わりぃ……」

気が着いたら、俺は孝太の胸ぐらを掴んで詰め寄っていた。

全く孝太相手に何やってんだか……

「ったく、とんだガキだなお前は」

その声に振り向くと、部屋の入口に坂田が立っていた。

「案外早くバレちまったな」

「な、なんだとぉ〜、お前も知ってたのかっ!」

「採用決まって、ミアちゃんから挨拶メールがきた。

ついでに、弘幸さんはお元気ですか?って聞かれたさ」

「なんで俺のとこには来ねぇんだよっ!」

「ミアちゃんは、お前が自分の道をちゃんと歩いているかどうか、確信が持てるまで姿を現さないつもりでいたんじゃないか?」

「ったく、どんだけ信用ねぇんだ」

「ま、コウタがその証明だったわけだ」

「な、コウタ」

「菅野先生ってば、俺にヒロ先生のことばっか聞くんだ。

その代わりに、勉強教えてくれるんだって」

「ったく、あることないこと言ってねぇだろうな」

「ヒロ先生が俺と母ちゃんにしてくれたこと全部」

「上出来だな」

そう言ったのは坂田だった。