「わたしは……、わたしは恥かしかったの。
何でも持ってるユウくんと、何にもないわたし。
やっと立ってる惨めな本当のわたしを知られたら、きっと嫌われるって思った」
「そんなこと……」
「そんなこと、あるよ。
ユウくんには親がいて、帰る家があって、安心して将来を見据えることができる。
わたしには、帰るところも、縋る親もいない。
一歩間違えば、明日の我が身さえままならない」
「ユキ……、ゴメン……」
そう言って涙を流す由貴を、雄一は思わず抱きしめていた。
「ゴメン、ユキのそういう気持ちに気付けなくて。
俺、ユキのことが好きだ。
でも、好きってことに浮かれてた。
ユキが求めていたのは好かれることじゃなくて、帰る場所なんだな」
「ユウくん?」
雄一の抱きしめる力はどんどん強くなる。
「俺、ユキの帰る場所になるよ。
なれるかな?
ってか、なっていい?」
「えっ?」
「まだ卒業まで2年かかるけど、ユキは待てる?」
「えっ?」
「って、どんだけ鈍感なんだ。
ユキ、卒業したら俺と結婚してください!」