翌日が休みということもあり、袴田家の勉強会はいつもより少し遅くに終了した。
時は既に深夜の2時を回っている。
太一はさすがに眠いらしく、大きな欠伸を何度もしている。
「もう、折角だから、今日は皆でここで寝ちゃおっか」
美亜がゴソゴソと掛け布団を何枚も出してきて、居間のラグの上で寝転んでいた太一や沙希の上にそぉっと掛けた。
美亜が言うまでもなく、どうやら二人は既に夢の中だった。
なんと言っても、二人はまだ中学生と高校生。
家庭の事情を親に代わって背負うには小さ過ぎる。
「沙希ちゃんのママもパパも、もうちょっとしっかりしてくれないかなぁ」
沙希に寄り添うように眠る太一の背中を、美亜がポンポンと軽く叩いた。
「大人だって、大人になろうと思った訳じゃない。
自覚なしになった大人は始末が悪いな」
「そりゃそうかもしれないけど……」
「俺の親だって、お前の親だって、たいして頼りにはならねぇだろ?」
「そうだけど……」
美亜は自分のことなど思い出したくもない筈だ。
「でも、居ないより、居る方がずっといいです」
二人の会話に割って入ったのは由紀だった。
「それでも帰るところがあるんだもの、ずっといい」
「ユキちゃん……」
いつもは静かな由紀がこんなに自分の意見を言うのは珍しかった。



