子離れ、と言えば聞こえは良いが、彼女の場合は子逃れに近い。 親は無くとも子は育つ。 幸恵はその言葉にどれだけ慰められたことか。 実際、彼女の子供達は周囲の大人の見守りと愛で生かされてきた。 仕事という大義名分の元、彼女は子供に寄り添うことよりも、子供を手放すことで自分を強く保ってきた。 経済的支援と環境を整えることで、運を天に任せてきたのだ。 その目論見はあの時までは上手く歯車を廻していた。 そう、あの時までは……