「姉ちゃん……、ごめん」
太一が言った。
「太一のせいじゃないよ。
姉ちゃんが弱いだけ」
「俺、姉ちゃんがいろんなこと我慢してるのわかってたんだ。
けど、なんもしてやれなかった」
「そんなの当たり前だよ。
太一に何かして貰おうなんて姉ちゃん期待してないよ。
でもね、太一。
太一は姉ちゃんの大切な弟、これからもずっと大好きな弟だから」
「当たり前だろ。
どこにいたって姉弟は姉弟。血の繋がりは切れっこねぇよ」
ま、せいぜい頑張って遊びに来い、と弘幸が太一の頭をガシガシと撫でた。
「生きていればな、会おうと思えばいつだって会える」
弘幸は独り言のように、遠くを見つめてそう呟いた。



