しばらくすると
『ごはんだよー』と、階段の下からお母さんの声が聞こえてくる。
テーブルに近づけば近づくほど
カレーの美味しそうな香りが嗅覚を刺激する。
クミンは私をポケットに入れ、食卓に到着。
すると
あららっ?私の身体が元に戻る。
チェンジした?
「カレー食べたくないの?」
こっそり聞くと
「アタシ。カレーにはウルサイんだよねー。匂いだけで、美味しくないってわかるもん」
だるそうにポケットで言う。
しつれいな奴。
でも図星かも。
「香りはいいんだけどねー。隠し味を入れすぎんだよ」
妹の早紀のスプーンの動きが悪い。
「お姉ちゃんの作るカレーは、美味しいんだけどなー」
ボソッと言われて
何となく
そこで
心の奥の小さなスイッチが入った気がした。
「明日、三者面談だよねー」
自分のカレーも用意して
お母さんは冷蔵庫に貼ってあるプリントを確認する。
「春菜?」
小さなスイッチに集中したかったけど、お母さんに話しかけられ、意識はお母さんに移る。
「あ、ごめん。そうだよ。時間通りにお願いしますって、増田先生が言ってた」
「増田先生ってイケメンだよねー」
ウキウキするお母さんの隣で、妹は「えーっ?」って苦い顔。
タイプじゃないらしい。
「カッコいいって、それより大学は決まってるの?」
お母さんに聞かれ「うーん」と返事する私。



