「『お姉ちゃんのアドレス教えて』って言われて、教えたから」
さりげなく言われて緊張が走る。

教えたの?
片岡さんの血走った目を思い出した。
怖いよぅ。

「ねぇねぇ、菅原さんにどうやって切ってもらったの?」
まとわりつく妹を無視して靴を脱ごうとした瞬間、玄関の鏡に自分が写ってた。

顔を近づかせ
髪を触る。

朝、出かける時は
お団子頭で長かったのにね。

今の鏡の中の女の子は
ショートボブがふんわりと似合う活動的な女の子。

『絶対可愛くしてやるから、心配すんな』
優しい声でそう言った。

部屋まで付いてくる妹を追い出し
制服のままベッドで大の字になる私。

髪が軽い。

菅原君の冷たい指先が、まだ頬に残っている。
頬を触ってタメ息をひとつ。

タメ息ならたくさん出てくる。
環境に悪いくらい出る。

胸が苦しい
頭もクラクラする、酸素が足りないのかな

本当にクラクラ……って

また私は
制服のブレザーに入り
クミンになっていた。

もう
たすけてー!