ポケットには妖精


「城田、本当に可愛くなった。短いの似合うね。やっぱり拓真は上手だなぁ」
教室を出ながら有南さんは感心する。

拓真……その言い方は
絶対できない。

「あのまま片岡に切られてたらと思うと、超ゾッとずるよね」

「怖かったですよー」
同級生だけど敬語になってしまう。

「城田って度胸あるね、ビックリした」

「自分でも驚きました」
本当に……クミンめ!!

「片岡さぁ、拓真に代わってから、すぐ教室出て行って成沢が追いかけてった」

成沢君が?
驚いてると、有南さんはうなずいて、少しズルい顔をする。

「今日、朝から片岡、機嫌が悪かったじゃん。どうしてだかわかる?」

うん。確かに機嫌悪かったな。
ビリビリしてたもん。

「ぜんぜんわかりません」
素直に言うと

「城田のせいだよ」って笑われた?

私?私が何かやらかした?
それともクミン?
そう思っていると
クミンはムッとしながら自力で身体を動かし、私のポケットから顔を出す。

「成沢がさぁ」

「はい」

「城田の事『カワイイ』って、朝に何回か言ってたの。それが女王様は面白くなかったみたい」

私?成沢君がそんな事言ってくれたの?

「昨日くらいから、城田のキャラ変わっちゃって、笑顔が多かったし」

それは私じゃないのだけれど
そういえば
クミンは豪快に笑ってたな。
授業中寝てたし、嫌な事は『嫌』って言って自由だった。