ポケットには妖精

誰もいない放課後の教室。

ひとりぼんやりと
イスと机を戻し、新聞紙の上に大量に切られた自分の髪を集める。

けっこう切ったのね。
もったいないな
リサイクルできないかな。

あれほど大好きで
手入れしていた長い髪に未練はなかった。

新聞紙をまとめて
ふと手を止める。

菅原君と
目が……合ったと思う。

気のせいか?

頬を触られた……と思う。

ただの偶然か。

菅原君の目
綺麗だったな。澄んでいた。


ぜんぜん怖くなかった。

ぼんやりとしていると

「早く帰りたいんですけどぉー」
退屈そうな声が聞こえた。
忘れていたクミンの存在!

「いやーよかったねー人並みになったよ」
しゃあしゃあとよく言うよ。
腹立つわー。

「勝手な行動しないでよ!どんなに怖かったかわかる?」
思いっきり言ってやる。
片岡さんに殺されるかと思ったよ。

「でもあのまま、由実ちゃんが髪切られるの嫌だったでしょー。成沢の嫌な顔も見れたしよかったじゃん。菅原君に可愛くしてもらってラッキー」

そうだ
成沢君の事を忘れていた。

恋が終わった成沢君。

あれだけ好きだったのに。