ポケットには妖精

心臓をバクバクさせながら
慌てて自分の制服のポケットをにらむと

「だって、やっぱり怖いんだもん。髪は乙女の命だしぃ」
そう私だけに聞こえる声で言う。

お前が言うか!誰が乙女だ!

そんな人の都合など関係ないように
片岡さんは遠慮なく私の左側に立ち、痛いくらいに髪を引っ張る。

そして
首の後ろで音がした。

いや
やっぱりそのハサミ工作用かも

髪の毛に引っ掛かって引っ掛かって
超痛いんですけれど。

音もジョリッとかなり悪い。

「ほっ、ほらっつ」
片岡さんは大きな声を出し
震える手で、怖い物でも投げつけるように、私の目の前に長い髪の毛の束を落す。

「いやーっ!!」
泣いて叫んだのは由実ちゃんだった。