由実ちゃんの肩が震える。
そりゃそうでしょう。
髪切り軍団【シザー】にかかったら、あっという間に、モヒガン・ワカメちゃん・半分坊主・長さもバラバラで修復不可能なくらいのカッテイング。
冗談じゃない。
「ダサダサ由実も、可愛くしてもらいな」
片岡さんは笑って由実ちゃんの腕を乱暴につかみ、教室の真ん中の机に座らせる。
先生を呼ぼうと、さっきお弁当を一緒に食べた友達が教室から出ようとすると、扉の近くにいた男子がニヤニヤと音を立てて扉を閉めた。
由実ちゃんの周りに人が集まり、邪魔な机を片付ける。
言い出しっぺの女の子は、新聞紙を持って来て床に広げて、その上に椅子をのせる。
「座んな」
片岡さんは由実ちゃんの身体を突き飛ばし、新聞紙の上にある椅子に座らせた。
由実ちゃんは声もでない。
何の冗談だろう。
こんな光景ありえない。
有南さんは呆れた顔をし
菅原君は知らん顔をしている。
他の【シザー】の面々は、ニヤニヤ顔が多かった。
由実ちゃんは片岡さんとその友達に囲まれ、ビニールの風呂敷めいたものを首に巻かれている。
誰か止めてよ。
クミンの胸ポケットから成沢君を見つめる。
成沢君は笑っていた。
100年の恋が覚めた瞬間。
家に帰って、作り直してもらったお気に入りのストラップを早く捨てよう。



