次の朝
目覚めても
私はシルバニアのベッドの上だった。
今日もクミンか。

どどーんと落ち込みながら、アライグマファミリーに挨拶してると、クミンが私をひょいとつかみ、胸ポケットに入れる。

「弁当作るよ」
ダラダラとそう言いながら
階段を下りてる最中

私の身体が元に戻った。

あ……戻った。
やっと自分の身体だ。
嬉しくて嬉しくて
身体中を触ったりあちこちの景色をみていると

「作んな」と、アクビまじりでポケットの中で私に命令。

上から目線のクミンに「うん」って返事をして、カーテンを開き、張り切って炊き立てのご飯を混ぜる。

「3つでいいよ。妹の彼氏の分はいらん」
そう言われて黙ってると

「遅くなるからダメ。嫌なら元に……」

「了解です!」
戻されてたまるもんか。
久し振りの自分の身体だもん。

丁寧にお弁当を作っていると

「春菜っち遅い。髪の毛の手入れもあるから早くして」

自分に興味の無い事はどうでもいいらしい。
いい根性してる。

「嫌。ゆっくり作りたい」

「髪の毛時間かかるもん」

「三つ編みは簡単だよ」

「あんなダサダサヤダー」

「私の身体だから、自由に……」

あれ?なんか周りが変
目まいがクラクラッと……して、私はまたポケットの中でクミンになっていた。

「早紀ー!弁当作ったぞ。アンタの彼氏にも作ったから」
クミンは叫ぶ。

「ちょっと、3つしかないでしょう」
お父さんと私と早紀の分なのに

お父さんと早紀と、早紀の彼氏のになったら、ひとつ足りない。

「めざまし占いでも見てなさい」
私をテーブルの上にのせ
クミンはまた鼻歌混じりに台所へ行ってしまった。

楽しそう。

インドポップ?