声も出ない妹。
そりゃそうでしょう。
「黙ってな」
クミンは静かに言い
すんごい目で早紀をにらんで、乱暴に手を離して突き飛ばす。
すると
そこに母
パート先から帰宅。
「ただいまぁ。あら二人とも揃ってた?丁度よかったわ春菜手伝ってくれる?今日はハンバーグを作ろうか」
笑顔で言ってくれるけど
「今、眉毛で手が離せないから、早紀が手伝うって」
クミンが言うと
「え?早紀が?」
驚き顔でお母さんが早紀を見つめる。
「ねぇ早紀ちゃん」
猫撫で声でクミンが言うと
「知らない」って
怒って部屋に行こうとすると
クミンが逃がすものかと
早紀の手を強く掴む。
「あんたさぁ、何が面白くないかわかんないけど、お姉さんに向かってその態度はないんじゃない?」
目をそらし
逃げようとする早紀の左手をクミンは離さない。
しっかり掴む。
「ワタシがどんな格好をしても、誰に何を言おうが関係ないジャン。上から目線で言いがかりつけて。人の目ばかりを気にして。片岡さんと私とどっちとるの?雪山で私と片岡さんが行き倒れになって、ひとりしか助けられないのなら、どっちを助けるのさ?あんた私の妹でしょう。いいかげんにしな!」
半べそかいて
返事はない。
てか
お母さんが驚いている。
「人として、さっきの態度は違うデショウ」
人として
邪悪な妖精が何をいうか。