「読モなんてめったになれないんだよ。憧れの人気者なのに、逆らわないでくれる?」

返事が弱いクミンに早紀は怒り
見ている鏡を取り上げた。

「やめてよ」

「有南さんに助けてもらったんでしょう。有南さんも素敵だよね。菅原さんの彼女だよね。菅原さんは超カッコいいもん」

「邪魔だって」
ヘアターバンを付け
クミンはめんどくさそうに立ち上り、早紀の前に立つ。

いつもの私と違うと感じたのか
早紀は一歩足を後ろに引く。

「お姉ちゃんが、あのクラスに居るって事がブタに真珠?ネコに小判?もったいないったらありゃしない。私と逆ならいいのにね」
負けずに早紀が言うと、クミンは溜め息をひとつ出し、眉切りハサミを片手に口を尖らせる。

「何が言いたいの?」

「お姉ちゃんが、そんないつもと違う格好しても片岡さんの足元にもおよばないし、逆らったら、妹の私にまで悪い印象を……」

そこまでだった。

クミンは早紀の膝を蹴り上げ、ふいをつかれた早紀の身体を左手で抱きかかえながら、右手で眉毛ハサミを早紀の目に近寄らせる。

「ひっ……」
恐怖で震える早紀にクミンは

「邪魔すんなや。あんたのまつ毛全部切ったろか?」

低い声でそう言った。

怖いーー怖すぎるクミン。