家に帰り
クミンは家の中の一番明るいリビングで、ボサボサ眉毛と闘っていた。
鏡に向かって真剣な表情。
今日の授業中と態度がゼンゼン違うんですけど。
生き生きしてる。
私は鏡の隣でジッと自分の顔を見る。
眉毛を抜いてる私の顔って
実にマヌケな表情だ。
クミンに身体を返すように説得しようとしていたら
「おねえちゃん」
明るく歌うような声が聞こえた。
妹の早紀だった。
「聞いちゃったぁ。今日片岡さんに逆らったんだって?ウケる。ダサいお姉ちゃんが笑える」
妹よ。情報が早いぞ。
同じ高校って嫌だわぁ。
鏡の横でウジウジしていたら、早紀は嬉しそうにまだ攻撃する。
「いくら今から頑張ったって、【シザー】に入れるわけじゃないしー。無駄だって」
妹は片岡さんを崇拝している。
この嫌味も仕方ないか。
クミンは早紀の言い分を無視して
マイペースに眉毛と闘う。
それが面白くなさそうな妹。
「あのさぁ、私の憧れの片岡さんにさぁ、あんまし変な言いがかりつけないでくれる?妹の私が迷惑すんだから」
ズパッと言うと
やっとクミンが口を開く。
「あの人、性格悪いよ」
すると早紀は
「可愛いし、読モだからいいの!」
怒ってるし
ん?でも
それでいいの?私は顔を上げて早紀を見る。