でも
せっかく叔父さんが私にくれたお土産。

ありがたくいただきます。

「着替えてくるね」
人形をもらって階段を上がる。

早紀の部屋から大音量で音楽が流れている。
うるさいけど指摘するともっとうるさいから黙る毎日。

藍色のペンダント
とっても綺麗だったな。

目に焼き付く私。

部屋に入って
不気味な人形を机の上に放り投げ、部屋着に着替えて日記帳を取り出す。

今日の出来事は

いつも通り。

平凡な日常。
いやけっこう最低率高いけど、地味な一日。

あとは成沢君。

文字に書くだけでドキドキしてしまう。
日記になんて書いちゃって
暗い女と呼ばれそうだけど

我ながら乙女を感じてしまう。

成沢 裕也君
1年生の時から憧れの人。
同じクラスになった時は嬉しくて胸が張りさけそうだった。
背が高くてテニス部で
笑顔が優しくて皆の人気者で……それからそれから

「それから何よ?」

うん。それからね……ん?
誰か何か言った?

そんなワケないよねー。気のせいだ。

成沢君には彼女はいない。
今はいない。

自分が彼女になろうなんて
そんなそんな
恐れ多い事は考えないけど
決まった相手がいないのは、何だか嬉しい。

「暗い女」

「大きなおせ……わ……え?」