学校が終わり

クミンは全てを無視して
一直線に生徒玄関へと向かう

「ちょっと!そんなに急いでどこに行くの?」
つい声を出して聞くと

「アンタの眉毛のせいで恥かいた。ムカつく」

いやだから
私の顔なんだって。
慌てていたせいなのか、廊下の曲がり角で誰かとぶつかりそうになる。

ごめんなさい。

「危ないじゃ……あ、菅原君ね」
その姿を確認すると
コロリと声と顔が変わってしまった。

おいっ!

「髪、見せて」
菅原君はボソッと呟き、私の髪を触らない程度に色々な角度から見ていた。

さすが将来のカリスマ美容師。
勉強熱心。

背が高くて
真正面で上から覗かれると、胸ポケットの私は菅原君の胸元に急接近。
嫌味のないいい香りに包まれて
緊張しつつも
キュンときて
甘い香りに酔ってしまう。

何ていう香りだろう。

甘くてくすぐったい緊張感に、私は包まれる。

「触ってもいいよ」
大胆な言葉に菅原君も驚く。

いや私も驚いてます。

「わかった……でも大丈夫。自分でやった?」

低めの声が魅力的。

「うん。ヤッタ」

「ねじったり編んだりしてるから、雑誌に載ってた?」

「ううん。インドで流行ってる」

「まじかー」
菅原君は軽く笑い
その場を去って行った。

笑うんだ。

こんな近くで

笑顔を見ちゃった。