ポケットには妖精

「どうしてあんな言い方するのよ」
ポケットの中でクミンに怒ると

「だって、ワタシあの人好きくない」

好きくないって……。

「私は好きなの。それに男子から『可愛い』なんて言ってもらったこと……」

「春菜っちうるさい。てか、アンタに話しかけられても、アタシは返事しないからねーって、これって昨日アンタがアタシに言ったセリフじゃん。ウケる」

そして爆笑。

もう……カンベンして。

ガックリきていると

「あ、平和ボケ軍団が来たよ」

「え?」

前を見ると

「春菜ちゃんおはよう。今日はどうしたの?髪の毛が違う」

「制服もいつもと違う。でも可愛い」

「おだんご頭がカワイイ」

いつもの仲良しさん達が近寄り、私はクミンのポケットの中でデレデレと照れていた。

いや
私じゃないんだけど……ややこしい。
泣けるわ。

「まーね」
クミンが乱暴にカバンを机に置き、ドスンと椅子に座ると

「イケてない子は、何をやっても無駄だけどねー」
片岡さんが嫌味ったらしく私に言う。

ほらね
だから嫌だったんだよ。

いつも地味な私が
急にこんな恰好したら似合わないし

場違い。恥ずかしい。

さっきまでの幸せテンションが
シュルシュルと、日にちの経過した風船のようにしぼんでゆく。

周りの友達も目線をそらせて黙ってしまう。

恥ずかしい。
クミンのポケットの中で唇を噛み、うつむいていると

「だから何?」
クミンは片岡さんの姿を真正面にとらえ、きっぱり言い切る。

その発言は
マズいでしょう!