ポケットには妖精

クミンはご機嫌で玄関に向かい
鏡で全身をチェック。

スカート短い
ブラウスの一番上のボタンが外れてる。
リボンが曲がってる。
ブレザーのボタンも全てかけてない。


学校行きたくない。

クミンのポケットの中で唸っていると

「春菜」
お母さんが心配そうに声をかけてきた。

「どっか身体の調子でも悪い?」

「いやゼンゼン普通」
髪の毛のピンを気にしながらクミンが言う。

「何か困った事あった?つらい事とかないの?」
消えそうな語尾のお母さんの言葉に、クミンはふと我に返ったようにお母さんに手を出す。

「お昼代もらってなかった。今日はパンだから」

「え……あ、そうね……」

「あと、プラス2千円ぐらいあったら嬉しいなぁ」
クネクネとおねだりしてるし。

私、そんなおねだりした事ないんだけど。
お母さんがすごく驚いている。

「え?ええええ?え?うん。うんわかった。」
お母さんは走って『おとうさーん』って叫びながら居間に行き、それからすぐ5千円札を持って来てクミンに渡す。

「体調が悪かったら、すぐ早退してきなさいよ」
真剣な顔をしてお母さんはそう言った。

いや……私じゃないのよお母さん。