叔父さんにしてはナイスチョイス。

そっと手を伸ばそうとしていたら

「可愛い!叔父さんありがとう感謝!」
騒ぎながら最速の動きで妹の早紀はテーブルからつかみ、すぐ自分の首に着ける。

「ちょちょっと」
動転してそれしか言えなかった。

「私の方が絶対似合うもん。お姉ちゃんは違うのもらったら。ありがとう叔父さん」
軽やかにそう言い
早紀は逃げるように二階へ行ってしまった。

私だって気に入ったのに

行動が遅い。

でも確かに
色白で可愛い顔で
オシャレで世渡り上手な
ひとつ下の妹の方が似合ってるかも。

ガッカリ
やっぱり今日は最低な日。
ハンパなく落ち込む私を見て、なぜか叔父さんは笑ってた。

「よし予定通りの展開」
嬉しそうに言い
自分のポケットから何かまた取り出す。

「春菜にはこっちを渡したかったんだ」
笑顔で私の手に叔父さんは小さな物をのせた。

え?素敵なペンダントがもうひとつあったの?
顔をほころばせる私が見たものは

それは
とてもとても

とってもとってもとっても

どう見ても
可愛いとは100%言えない。
いや誰も言わない。

不気味な不気味な
原住民っぽい人形のストラップ。

「インドの神様。願いを叶えてくれるんだよ」
これが渡したかったと満足する叔父さんを前にして、私は「ありがとう叔父さん」と、棒読みでお礼を言っていた。

紫の民族衣装であるサリーを着て、不気味に笑う意地の悪い笑顔が怖い。

目つきも悪いし
外国のアヤシイ業者が作ったアヤシイ人形って感じ。

真面目に不気味だこれ。