「学校でも家でも、自分ってもんがないと違う?」
シルバニアのベッドに大の字に寝ころび、私に説教。

「いいの?それで?」
小さいけど上から目線。

「じゃ、どうすればいいの?」
小声で聞くと逆ギレされた。

「バッカじゃないの?何で『どうすればいいの?』って答が返ってくるのよ!!どこまでもバカ?」
ベッドから飛び起きて私に近寄る。

怖い。
あまりの迫力にひるんでしまう。

「思ったこと言いなさいよ。行動しなさいよ。家でも学校でもこきつかわれて、言われてばっかりで、あーなさけない」
反論できない。

「あの成沢って男も、つまんない男だし」

「ちょっと!成沢君の事までケチつけないでよ」
これには怒ってしまけど

「盗撮女」
捨て台詞を残し
クミンは布団をかぶり、横を向いてしまった。

私は机の上にある
大切な天使のストラップを見つめる。
買った時とは違う形をしていたけど、今の方が優しい形をしていた。

気持ちを込めて直してくれたはず。

でも
今は成沢君の笑顔が思い浮かばない
どうしたんだろう
成沢君が色あせる。

デジカメを取り出し
私は校庭で盗み撮りした成沢君の写真を削除する。

すると
次に出てきたのは菅原君の写真。

これこそ盗撮の一枚。
きりりとした真剣なまなざし。

「それは削除しないでよ!」
寝たと思ったクミンが叫ぶ。

「はいはい」
私は笑って返事をした。