菅原君の彼女になって
よかったね
めでたしめでたし……ではなかった。
現実はそんなに甘くない。
「何であんな地味な子なの?」
「さいてー。ムカつく」
そんな声も上がる。
そう言われると
その通りである。
反論はできない。
菅原君はイケメンで、上級生のお姉様達からも可愛がられ、下級生からも憧れの的。
それでも硬派で決まった相手も最近はいず、いてもきっと有南さんのような完璧美人だろう、それならそれで納得してあきらめもつくって思っていたけど、相手がこんな地味な私じゃ……気持ちもわかる。
廊下を歩くとヒソヒソ言われたり、にらまれたり、聞こえるような嫌味を言われたり。
それでも私は
無視を決め込み
普通に過ごしていた。
もうクミンもいない。
ひとりで頑張らなきゃ。
私の近くに
有南さんが横にいたり
片岡さんが傍にいたり
もちろん菅原君がいる時は
迫力があるのか、被害はないのだけど。
きっと人のウワサも何とやらだから、そのうち落ち着くと黙っていたけど、菅原君が黙ってなかった。
昨日の帰り際
私だけだと思ったらしく
階段を降りていたら大きな声で
「まだ別れないの?アンタと拓真は似合ってないんだよ。この地味子」と、どこかから声が聞こえ
それを少し離れて
菅原君が聞いていて
半端なく怒った。
あれほど怒った顔を見たのは初めてで、自分をかばってくれたのを忘れて、とっても怖かった。
「誰だ?もう一度言ってみろ!」と、お腹の底から響く低い迫力ある声で叫んでいた。
怖くて
誰も何も返事せず
その場が凍りついた。
「今度俺の女に何か言ってみろ。誰であろうと遠慮せず痛めつける」
言った本人は
震えあがってその場に崩れて隠れたらしい。