ポケットには妖精

「拓真……」
ほとんど蚊の鳴くような声で菅原君の名前を呼ぶと

「聞こえない」って言われた。

こっこれが
これがドSってヤツなのだろうか。
心臓に悪い。負けてはいけない。

私は真っ赤になって

「そっそんな風に言うなら、もう言わない」
頑張って言うと

「それは困る」って、菅原君はうつむいている私の頬をまた両手で包み、顔を上げさせた。

恥ずかしい。
顔が見れなくて目をそむけたら

「本当に大好きだから」

そう言って
また顔を寄せたので

今度は私も

最初から最後まで

自分の身体で
自分の唇で

菅原君とキスをした。

唇と唇が重なるだけなのに
切なくてキュンとして

泣きたくなるくらい幸せを感じる。

キスって不思議。

菅原君は私を胸に抱き、愛しそうに髪を撫でる。

温かくて広い菅原君の胸の中

ずっとこのままでいたい。