「春菜」
優しく……とても優しい声で私の名前を呼び、そっと片手で頬を撫で私の顔を自分に向ける。

そして
空いている別の手をクミンの腰に手を回し、少し力を入れて自分に引き寄せた。

ポケットから見上げる菅原君の顔は、真剣だった。

ヤバい
この展開は……まずい。

「俺も大好き」

やーめーてー!
違うの菅原君。それはクミンなの
私じゃないのー!

ポケットの中でジタバタしても、菅原君に伝わるワケがない。

菅原君の顔がクミンに近寄り
クミンも目を閉じ顔を上げる。

キスしないで!
やめて!誰か助けて!

ふたりの唇が引力のように引き寄せ合い、その唇が重なった瞬間、ギュッと強く目を閉じると





私は

自分の身体に



戻っていた。