「高校に入ってから、意味のない時間を過ごした。…ただ友達とつるんで遊んで、告られて女の子と遊んでも、自分から好きになれなくて続かなかった」

視線が熱い。

「城田を見た時、スゲー楽しそうだなって思った。大人しいけど、つまらない毎日をいつも笑顔で過ごしていた。写真を撮って、花に水をやって……園芸部なんてあったっけ?とか思ってた」

よく間違えられます。

「学校祭で展示された空の写真を見て、余計興味が湧いてきて……気になって……同じクラスになった時、テンション上がった」

そこで笑顔を見せられて、またハートがズキン。

「何事にも一生懸命で、そんな城田を見てると、こんな自分じゃダメだって。俺なんて親の力で将来は決まってるから、努力なんてムダって思ってたけど、それじゃダメだって……親の力を借りずに、自分で勝負しなきゃいけない」

えらいよ菅原君。

「ずっと目で追ってきた。成沢の事が好きって事も知っている」

「どうしてそれを?」
否定もせず聞いてしまう私。

「誰でもわかるだろ。だから片岡の目の仇にされたんだって」

わかりやすい自分の行動が憎い。
痛い話だ。

「でも俺は城田が好きだった。片岡に髪を切られた時、心臓が飛び出そうだった」

今の私がそれです。

菅原君は、そっと手を私の頬に伸ばす。

「髪を切っていて、目が合った時。有南に声をかけられてなかったら、そのまま抱きしめていたと思う」

やっぱり目が合ってたんだ。

「俺の事、嫌い?」
吸い込まれそうな綺麗な瞳が、まっすぐ私を見つめる。

嫌いなわけがない。
首を横に振ると

「付き合ってほしい」

そっと言われて

私は静かに「はい」と返事した。