ポケットには妖精

これを言ったらすぐ席を立とう。
教室に帰ろう。

貴重な昼休み
それもお弁当も食べず
音楽室に直行してくれたのに、こんな変な話されてるんだもん。ごめん。

私はそっぽを向いてる菅原君の背中に語る。

「私は進路に対して、親の言うまま、先生の勧めるままに、自分の意志も無く進もうとしてた。でも、ある時菅原君が一生懸命、お店でカットの練習をしていたのを見た。それは自分の意志で決めた道をまっすぐ進んでいる目をしていた。だから、その姿を見て、あの、私も自分の道を……」

「城田!」

「はいっ!」

今までにないくらい緊迫した声を出し、菅原君は深く深呼吸をして大きな手で私の両肩をしっかり捕えた。

捕獲?

怖い顔で私を見つめていた。

綺麗な顔は怒ったら怖い。
やっぱり血の繋がりか
有南さんに似ている。

怒ってるのか。

ごめんなさい。

こんな地味子に呼びつけられて
変な話を聞かされて怒ってるよね。

ごめん。
でも伝えたかったの。

菅原君のおかげで変われたって

大好きだから

とっても大好きだから。

別世界の人だけど
大好きな大好きな人って気付いたから

「城田」

「はい」

殴られる?私。
痛そう。

目を強く閉じていると









「俺と付き合って」


リアクションもできないくらいの
ほぼ
聞き間違いでしょうというセリフが届いた。