ポケットには妖精

「お礼を言いたくて」

「お礼?」
隣で肩が動いてる。
私の言葉が意外だったかな。

きちんと話さなきゃ。

「私のストラップを直してくれて、ありがとうございました」
思いつくまま言わなきゃ
緊張でパニックになる。

「あれね。直したけど形が悪くなった」

身構えてたのは私だけじゃなかったかも、密着している菅原君側の肩が下がる。

「とっても嬉しかった。一生懸命直してくれたのが伝わった。菅原君の気持ちが嬉しかった。大切にするね」
私も心を込めて言うけれど
菅原君からの返事はなかった。

そんな事で呼び出すなって感じかな。
怒ってたらどうしよう。

えい!
いいや。
怒られても嫌われてもいいよ。
言わせてもらおう。

「あと、昨日の授業中。急に強風が教室に入ってきて、菅原君が守ってくれて……その……」

「それはいいから」

ありがとうと言う前に、言葉を遮断された。

え?
顔を上げ
菅原君を見ると、眉間にシワよせて私から目をそらす。

なんか
身体も私の平行線で座っていたのに、角度が違ってきた。30℃ほどあっちに向いてる。

拒否られてる?
ウザかった?
なんか
左足が揺れてますけど
怒ったように揺れてますけど。

うわぁ
やっぱり私ウザいか。

でも
もうひとつある。

もうひとつ大切なお礼。