ポケットには妖精


いざ誓っても!

教室に入り
菅原君の姿を見ると
緊張しまくる私です。

脳内シュミレーションは昨日した。

菅原君が席を立ち
トイレかどこかへ行った時
私もこっそりストーカーして
礼を言う。

①髪を切ってもらった礼……これはいいか。ギリ言えたから。

②昨日の突風から守ってもらった礼

③ストラップを直してくれた礼

④菅原君が、髪を切る練習をしていた姿を見て、私も自分の道を選べた礼

②と③と④だな。

いや待てよ
今さらだけど④は重いかな。

でも
ここが一番大切なとこだから
伝えたいけど

重いか。

その前に
上手くシュミレーション通りに
捕まえる事が出来るのか。

自分の机の前にカバンを持ち
友達と会話中の菅原君の背中を見つめていると

「怖い顔してる」

ふんわりといい香りがして
有南さんが私に話しかけてきた。

「えっ?あ、有南さんおはよう」
菅原君を見つめてたのをバレないように、必死になって目をあちこちに移動するけど……

「拓真?呼んでやろうか?」
って菅原君に一歩近づくので、その手を引っ張る。

「いや、違うんです」
焦る。
声が裏返ってしまう。
心の準備を下さい!

「城田って面白くて可愛い」
有南さんは笑って、私の頭を撫でる。

「拓真は怖くないよ。城田に話しかけられたら喜ぶから、いっぱい話してやって」

そう言って
友達に声をかけられて
目の前から去ってしまった。

菅原君は怖くない。
うん。それはわかってる。
優しい人だと思う。

でも
あまりにも私が地味で
別世界の人だから
脳内シュミレーションと気持ちは上がってるのだけど、目の前にその姿を見ると、緊張してしまうという。

一歩進んで
一歩下がる

これじゃダメなんだよなー。

「ホントー。ダメな女」
いつの間にか起きている妖精が、ポケットで溜め息交じりでそう言った。

クミンに言われるのが
一番腹立つわー。