ポケットには妖精


「春菜が調理師になるのは反対じゃないよ。明日から全力で応援するから、でも今日は、このままでいさせて」

そう言われて
私は素直にうなずくと

「オムライス食べるから」

ボソッとつぶやく母だった。


お父さんが帰って来て
進路の事を話すと大賛成してくれた。

「春菜は料理が好きだから、いいんじゃない?」
やりたい事が見つかってよかったねーって言うお父さんを、お母さんはジロリとにらむ。

私はポケットの中で(食べるのはクミンなので)嬉しくてニコニコ顔が止まらない。

そうだね
やりたい事が見つかったんだ私。

達成感で満足しつつ
お母さんの曇った顔が気の毒に思ってたら

「今日さー、担任のまっすーがさぁ『城田のお母さんって若くて可愛いよな』って言ってた」

クミンが大噓をつくと
お母さんの表情が変わった。

「えっ!ホント?いやぁ本当に?嬉しいっ」
つきものが落ちたような
爽やかな笑顔を広げ
頬に手を当て元気になっていた。

恐るべし まっすー効果。

そして
恐るべし クミン。さすがだ。