頭の中がボーっとしていた。

あれだけ念願だった
サボり気味の部活に出ても
ボーっとして
ブレた写真ばかり撮っていた。

胸ポケットの中のクミンの声を遠くに聞きながら、部活終わりのマックを断り、ゆっくりと家に帰る。

「春菜っち?」

「んー?」

「大丈夫?」
クミンらしくないほど、心配した声。

「大丈夫だよ」

うん。大丈夫
ただ有南さんの言葉が衝撃だったから。

秋の黄昏に向かって
アスファルトを歩きながら
有南さんの言葉を思い出す。

『城田は、何か勘違いしてない?私と拓真が一緒にいたら、あんたの顔が悲しくなってんだけど』

ちょっと
怒ったような声だった。

そして有南さんが教えてくれたのは

有南さんと菅原君は
お母さん達が姉妹のいとこ同士であり

付き合ってはいない。

ただの
仲のよい、いとこ同士。

有南さんには
菅原君よりもっとカッコいい彼が校内にいる。

菅原君よりカッコいい?
それは……誰っ?
菅原君よりレベル高い男子って、いないよ。

隣のクラスの
菅原君と親友である
タラシの相川君?

弓道部主将の岡本君?

学年順位一番の綺麗な顔した柴田君?

いや
そんなのはどうでもいいとして