ポケットには妖精


言い訳めいた説明をする拓真は、変な汗かいてるし

笑える。

私がププッと笑ったので、機嫌を損ねたのか、拓真はスネた顔してカバンを持つ

「見てればいいじゃん」

「いや……帰る」

可愛い奴だな。

「誘って一緒に帰れば?」
斜め目線で笑って言うと

「ばーか。俺が声なんてかけてみろ。あっちビビッて逃げてくわ」

確かに。
おっしゃるとーり
城田と拓真はジャンルが違いすぎる。

城田だって
いきなり拓真が告ったら固まるだろう。

「そんじゃ」
カバンを引っかけ
私の顔を見もせずに前を通り過ぎる

「お母さんが、『たまにご飯食べにおいで』って言ってた」

その背中に声をかけると
拓真は軽く手を上げて行ってしまった。

背が高くて綺麗な顔で
優しくてシャイないとこ殿。

バイバイ
私の初恋の人。

見送ってから
ふと、教室の扉からアイツの姿を発見する。

女子はね
昔の恋より
今の恋が大切なのよ。