ポケットには妖精

「頼むからやめろ」
必死だ。
ガチ必死。

「えーっ協力してあげるよ」
クールな、いとこのこんな姿
面白すぎるでしょう。

「何もするな」
怖い顔で私の肩を強くつかみ、拓真はそう言った。

「拓真が城田をねぇ」

意外すぎる。
接点はないけど
頭がかなり良くて、真面目な子のイメージ。
私達とは別世界。

言っちゃ悪いけど
地味な子。

拓真なら
どんな女も
よりどりみどりなのに。

「いや、だからそんなんじゃない」
プイと横向き
私の身体を離すけど

拓真のこの動きとこの顔つきは、本気って事だろう。
付き合いが長い私には
誤魔化せないよ。

「そんなんじゃないって、何」
あぁ
ニマニマ笑いが止まらない私。

「違うけど……学校祭の展示で、いい写真撮るなって思って、どいつだろうって見てたら……常に一生懸命で、ほら……俺らって一生懸命とか真面目とかって縁がないだろ」

俺らって言ったね。
まぁ
そうだけどさ。

「好きとか、そんなんじゃないけど、いつも楽しそうで……楽しそうに歩いてたり、楽しそうに写真撮ったり、楽しそうに水やりしてたり、気になるだけだから」

それが恋ってもんじゃない?

女に本気になれない、いとこ殿。

恋なんて簡単でしょう。