少しばかり重くなった空気を払いたくて、ぽそり、そんなことを呟いてみたら、
「だって誰かさんが、大丈夫じゃないのに強がったり、平気な振りするからでしょ。
そーいうとこあるじゃん」
そんなあたしに気づいたのか、郁生くんがあたしのおでこをつついて笑った。
「………ありがと……ねぇ?」
「ん?」
「郁生くん、大好き」
返事の代わりに、繋いでいた手をぎゅっと握り返されて、
「まあ………何があっても飛んでくから、
安心して、ずーっと心配されてなさい」
「ふふっ、じゃあ、よろしくお願いします」
「じゃ、お蕎麦食べに行こ?」
「りょーかーい!」
手を繋いだまま歩き出しながら───
あたしは、………その手のひらの温かさに、
海に行った日のことや、
熱を出した時のことや、
………お花見の日のことを懐かしく思い出して、
あたしを、変わらず側で守ってくれるこの手が嬉しくて、
もう一度、大切な宝物を掴むように、
きゅっ…と両手で、彼の腕にしがみついた………

