後に残された郁生くんは───…… 「トーコさん……? ……寝ちゃったの?」 手を握りしめながら、眠りについてしまったあたし。 郁生くんは、あたしの額にかかった前髪を、 もう一方の手でそっとかき上げて─── 「んとに……無防備な顔して……年上のクセに……」 そして、両方の手のひらで、あたしの手を包み込みながら、 ため息混じりに呟いた。 「訳分かんないよ……トーコさん…… “逢いたかった”とか、 “ごめんなさい”とか…… ────“約束”って、なに……?」