節子さんが、蝋を多めに含ませた筆を布の上で振ると、
布に蝋の点々とした模様が出来た。
「へー、おもしろーい!」
今のは染料塗る前だから、白い模様になる訳か。
その様子をお向かいから見ていた郁生くんが、
「吹雪…………」
「え?」
「俺───思いついた」
笑顔を覗かせると、おもむろに手を動かし始めた。
………どんな絵柄に決めたんだろう?
郁生くんが蝋と染料の筆を交互に取る様子を覗き込んだら、
「あ、トーコさんは自分のに集中してよね。
………お互い、出来上がりはお楽しみにしよ?」
「えー? そうなの??」
黙々と取りかかり、「うん、大丈夫そう」と満足そうに頷くと、
あっという間に、本番用のバンダナサイズの布を受け取った。
わ………決めたら早いんだ………
────よし、あたしも頑張るぞ!
あたしも小さな布地に向き直ると、筆に蝋を含ませた。

