ここで体験できるのは、一枚の布地を蝋と染料で染め上げるところまでで、
蝋を落とす作業は工房の方でやってくれて、後日完成した作品を送ってくれるということだ。
「初めてでイメージがわきにくいでしょうから、まず、この小さな布地で少し遊んでみましょうね」
本番の布地は、バンダナくらいの大きさみたいだ。
「はー………緊張する」
「……だね? うーん、どーしよっかなー……」
練習とはいえ、蝋の入った入れ物と筆と布とにらめっこのあたし達に、
節子さんは、柔らかく微笑んだ。
「ふふ、無理に蝋で何か模様を描こうと思わなくてもいいのよ?
こうやって、線を描いたり、蝋を散らしたりして、色を重ねていくのも、案外素敵な仕上がりになるのよ。
ほら……こうして蝋が乗ったところは、それ以上染まらないから、そこがまた色の模様になるでしょう?」
「───散らすって?」
「蝋を筆先に含ませて、パッパッて振るの」

