「そうだろーねぇ……得な性分だわ、はぁ。

───香子、1月終わりから2月始めくらいに帰ってくるつもり、って言ってた。
年明けたら、なんだかんだ準備で忙しくなるわ」


「あのコのことだから、どうせ予定は未定だろうけどさ」と、母親は苦々しく付け足した。


「──そっか………。

予定日って、いつなんだったっけ?」


「3月の終わり頃、だって」


3月の終わり───あの桜の泉へお花見に行った……全てが始まった時から、ちょうど1年………


水を止め、手元に下がっているタオルで手を拭きながら、そんなことを考えてるあたしに、

またもや心臓に悪い一言。



「───そういや、さ? 郁って、なんかあったの? あんた、何か知らない?」


「はっ………な、なんで??」


いきなり、郁生くんを話題に出さないでってば。

うっかりタオルを落としそうになった。