「ただいまー!」
……玄関から聞こえる母親の声。
えっ、なんで!?
こんな時間に……パートじゃなかったっけ??
予想外なことにびっくりして、思わず挙動不審になったあたしに、
郁生くんがちっちゃく「……落ち着いて」と囁き……
「あー、重たい。柊子に車で迎えに来てもらえばよかったなー。見てよ、これ!」
パート先から自転車で帰ってきたであろう、母親が一人賑やかにリビングへ入ってきた。
「おかえりー、 あの………早かったね。どーしたの?」
「あぁ、うん。今日はたまたまね。
見てみて、リンゴ沢山いただいてきたの。重たかったわー!
……あ、たい焼き食べてた??」
「あぁ、うん」
……あたし達の妙な空気を悟られなかったことに、あたしはこっそりと安堵のため息をついた。

