「───……ずるくてもなんでも、いいや……」
郁生くんがそう囁いて、下からあたしを引き寄せ────あたし達は、キスをした。
それは……2ヶ月前とは違って、すごくあったかい気持ちに包まれていて。
郁生くんの優しい唇に、涙が出そうになる。
知らなかった。嬉し過ぎて泣きたくなることがあるなんて。
……想いが通じ合うことが、こんなにも幸せなことだなんて。
好き………郁生くん………
───そっと唇を離すと、下からあたしを覗き込んでいた郁生くんが、
「だめ……足りない……」
そんな切なげな掠れ声に、クライミングウォールの堅さを背中に感じて、
「……郁……」
あたしの言葉が吸いとられるように、唇を塞がれた。
「………好きだ…」
ウォールに押し付けられ、だんだん深くなるキスの隙間で、郁生くんがそんな囁きをもらす。
「……んっ……」
答える余裕のないあたしは、絡められていた彼の指を強く握り返していた……………

