15センチ以上背の高い郁生くんを、あたしが見下ろしてる。
いつもと逆の光景。
可愛く見えて、愛おしく感じて、
すこーしだけクセのある柔らかい黒髪にふわっと触れてみた。
「ずるい、かな……?」
「……うん」
「そう?」
「だって……」
いっつもはしっかりしてる彼の、まるで駄々っ子みたいな表情を見ていたら……
「───好き。郁生くん、大好き………わっ!」
髪にチュッとキスをした途端、郁生くんがあたしをぎゅっと捕まえた。
「……あー、なんか……」
「ん?」
「やっぱり、トーコさんずるいなー…」
「なんでよー、ずるくないもん。
郁生くんが可愛いからいけないんじゃない?」
「……それ、男に使う言葉じゃないし」
わざとぷぅっとほっぺをふくらました郁生くんと目が合った途端、お互い小さく吹き出して。

